生命線と創造力

『生命線と創造力』(せいめいせんとそうぞうりょく)は、taberusanによる2枚目のアルバム。

2020年12月16日にリリースされた。

 

背景とリリース


前作『趣味(暴論)』から約1年10か月ぶりのアルバム。

『趣味(暴論)』のリリース後『rechronicle 2005-2011』『rechronicle 2013-2019』としてtaberusan名義での活動開始以前のレコーディング音源やtaberusan初期の自作デモの一部を配信リリースし音源制作に関して一旦の区切りをつけた後、次にやりたいことを見据えた際に新曲制作と既存音源のリメイク両方を並行したいという想いから「Rebirth and New verse」というテーマを掲げ両方の制作に取り掛かった。第一弾として2019年後半に制作した新曲『性』『ロビンソン』の音源化と過去の代表曲である『no music but life goes on』のリメイクを行い、『Rebirth and New verse -EP』として2020年2月に先行リリースした。

 

アレンジャーについては前作に引き続きイシワタユウイチが多数楽曲で携わっている他、2020年2月の初ワンマンを鑑賞した島田アキヒロからアレンジの申し出があり、既存音源のリアレンジを担当した後に本アルバム収録曲のアレンジにも携わり、その後も継続参加している。また、前作収録の『プライマル』でコーラス参加したEMILYDAKOTAも『カモシカフェイク』のミュージック・ビデオ監督として携わっている他、『ヘンペルのカラス』のアレンジも担当している。

 

本アルバムの制作開始から程なくしてコロナ禍に見舞われるが、アーティストとしてのあるべきを見直す機会となり、自分が何のために音楽を鳴らし続けるのか?このような未曾有の状況下で活動を続けていくために何が必要なのか?という自問自答の中で浮かび上がったのが「生命線と創造力」というテーマであった。当初は「生命線」と「創造力」の2枚のアルバムを同時または連続でリリースする計画もあったが、既存楽曲や同時期に作られた『クロノ・トリガー』『チェリー』といった曲は本作のテーマには当てはまらないと判断し音源化を保留した。島田アキヒロが最初にアレンジを担当した『早く化け物になりたい』も同様の理由から『Rebirth and New verse -EP』(配信版)には収録されているが、アルバム未収録となっている。

 

 

プロモーション


2020年10月31日に新松戸FIREBIRDにてロビン色ノ空とのツーマン配信企画を行い、その中でアルバムリリースを発表するとともに全曲曲順で披露した。

またリリース日である2020年12月19日より、全4会場でのレコ発企画”四神“を開催する。

 

「生命線と創造力」レコ発企画”四神”

 日程  会場  企画名・備考
 2020年12月19日   新高円寺バーペガ

「想像力は君に宿る」(四神:pegasus)

  taberusanトリビュート企画として全出演者taberusanの曲をカバー。

 2020年12月26日   久米川太陽と月灯り 「仕組まれた運命」(四神:troll)
 2020年12月27日   新松戸FIREBIRD 「再会の約束」(四神:phoenix)
 2021年1月10日   渋谷La.mama 「憧れこそ、我が生命線」(四神:venus)

  なんちゃらアイドルとのツーマンであり、渋谷ラママでの初企画。

 

 

前作と異なり、ダウンロード&サブスクリプション配信はリリースと同時ではなく約半年後の2021年5月14日にスタートした。

 

 

収録内容


全作詞・作曲: taberusan

 #  タイトル  編曲  ミックス  時間
   1. 「Left」  taberusan・イシワタユウイチ  イシワタユウイチ  3:52
   2. 「Cluster」  島田アキヒロ  島田アキヒロ  3:10
   3. 「性(album mix)」  イシワタユウイチ  イシワタユウイチ  4:18
   4. 「ロビンソン(album mix)」  taberusan   イシワタユウイチ  2:00
   5. 「ないがしろ」  taberusan   イシワタユウイチ  3:13
   6. 「森は燃えている」  島田アキヒロ  島田アキヒロ  0:43
   7. 「LIVE A LIVE」  島田アキヒロ  島田アキヒロ  4:56
   8. 「Mute」  taberusan  イシワタユウイチ  3:47
   9.

「ヘンペルのカラス

 EMILYDAKOTA  EMILYDAKOTA  3:15
 10. 今宵、センチメンタル(album mix)  イシワタユウイチ  イシワタユウイチ  4:43
 11. 「カモシカフェイク(album mix)」  イシワタユウイチ  イシワタユウイチ  4:03
 12.  「no music but life goes on(album mix)」  イシワタユウイチ   イシワタユウイチ   3:59

 

 

楽曲解説


 1. Left

    • コロナ禍で最も感じた「心の分断」について書いた曲。書きあがった時点でこのアルバムの1曲目に相応しいと感じた。
    • 音楽活動を続けることと止めることのどちらが正しいのか揺れ悩み、色々な葛藤の中で選択を続けているうちに、それが自分の為なのか誰かの為、世の中の為なのかがわからなくなったとき、心の師として仰いでいる大森靖子氏にDMを送ったところ、「自分と向き合うことでその中にしか他社や世の中とは向き合えないから極論自分でおけ」と返事をもらい、そのことによって自分の決断に自信を持つことができた。このエピソードを心に刻んでおくため歌詞に記載している。
    • 自分の中でアレンジイメージが固まっていたためセルフアレンジで音源制作を進めていくが、ベースの音は必要と感じたことからイシワタユウイチにベースアレンジと曲全体のミックスを依頼しているため、クレジットは共同編曲としている。

 2. Cluster

    • 『Left』同様にコロナ禍で感じたことをテーマとしているが、こちらは怒りの要素が強く歌詞の内容も多少過激となっている。
    • アルバムリリース以降でライブ演奏されることは殆どない。

 3.

    • アルバム制作初期段階で先行リリースした『Rebirth and New verse – EP』の1曲目に収録。シングル曲として扱う。
    • ライブ活動再開を見据えた2019年秋頃からに楽曲制作を行い、再開後以降はライブでも頻繁に演奏される。
    • この時期スクウェアのゲームタイトルを付した楽曲を多く作っており、本曲も気づかれにくいが「ロマンシング サ・ガ」から拝借している。(スクウェア四部作の一つ)

 4. ロビンソン

    • アルバム制作初期段階で先行リリースした『Rebirth and New verse – EP』の3曲目に収録。『性』とは異なり、カップリング曲的位置づけで捉えている。
    • 大学時代のSpitz好きの友人から『ロビンソン』と『チェリー』というタイトルで曲を作ってみよとお題を与えられ制作した。
    • それまではアコギ以外のパートはキーボードで演奏したものを録音していたが、本楽曲のアレンジ以降はDAW(Cubase)のプログラミングによるものが多くなった。

 5. ないがしろ

    • デモ音源としてリリース済の過去楽曲をリメイク。弾き語り中心のアレンジである点は変わらないがストリングスと鉄琴の音を加えている。
    • デモ音源バージョンはSoundCloudで2014年から配信されている他、2019年にサブスクで配信開始した『rechronicle 2013-2019』にも収録されている。

 6. 森は燃えている

    • インストゥルメンタル。ライブでは以前より『ないがしろ』と『LIVE A LIVE』を繋げて演奏することが多く、2曲間のブリッジとして鳴らしていたアコギギターコードに加え、風の音などを島田アキヒロの方で追加したものを同様に2曲の間に収録している。

 7. LIVE A LIVE

    • 2nd配信シングルとして2020年8月13日にリリース。
    • アルバム収録に際し、もっと荒々しいアレンジにしたいという意向の下、シングルとは別のバージョンを制作して収録しているが、表記としてalbum ver等の記載はない。
    • 「生命線と創造力」という表題に対して「生命線」の核になる曲として捉えている。
    • 曲名はスクウェアの同名ゲームタイトルから引用。(スクウェア四部作の一つ)

 8. Mute

    • コロナ禍の2020年5月に1か月間毎日生配信していたツイキャス「音の無い配信」のテーマソング。タイトルを紹介するホワイトボードにテーマソングとして記載されてはいるものの、配信の趣旨として無音であるため配信中に楽曲を流したり演奏したりすることはしておらず、当初はあくまで想像の中のテーマ曲として存在していた。しかし、実際に楽曲制作も進めており、5月後半頃より別のツイキャス配信などで本楽曲を実際に演奏・披露した。
    • アルバムリリースに際して「音の無い配信」のダイジェスト動画を基にミュージック・ビデオを制作。
    • 間奏の口笛はタイツキのYajiに吹いてもらうことを決め、レコーディング機材を持って久米川の太陽と月灯りに凸する。レコーディングの様子がミュージック・ビデオのラストに挿入されている。

 9. ヘンペルのカラス

    • デモ音源としてリリース済のセルフアレンジ楽曲に対し、EMILYDAKOTAにリアレンジをオーダー。
    • 元がアコギ中心のアレンジであったものに対してアコギは一切用いずピアノ中心のアレンジに仕上がっているが、そもそもこの楽曲はピアノを中心としたクラムボン的な楽曲を意識して作られている。
    • デモ音源バージョンはSoundCloudで2014年から配信されている他、2019年にサブスクで配信開始した『rechronicle 2013-2019』にも収録されている。
    • 過去楽曲の中でもとりわけ本作のテーマに即した楽曲であると感じており、早い段階から本作への収録を考えていた。

10. 今宵、センチメンタル

    • 3rd配信シングルとして2020年9月14日にリリース。
    • あいみょんを意識して楽曲は制作された。
    • ポップソングとしての振り切り方はこれまでの楽曲と比較しても一つ段階を超えたものが作れたとtaberusan本人は自負する。
    • アレンジはイシワタユウイチが担当しているが、イントロおよびアウトロのフレーズはtaberusanが弾き語り時点で思いついたものが採用されている。
    • 「生命線と創造力」という表題に対して「創造力」の核になる曲として捉えている。

11. カモシカフェイク

    • 1st配信シングルとして2020年7月9日にリリース。
    • デモ音源としてリリース済のセルフアレンジ楽曲に対し、イシワタユウイチにリアレンジをオーダー。
    • デモ音源バージョンはライブハウスでの無料配布を行ったCD盤『変態』に収録されているが、配信はされていない。
    • レコーディング時期がコロナ禍の真っ只中であったことから、ボーカルとアコギの録音はtaberusanの自宅部屋で行われた。
    • EMILYDAKOTAによりミュージック・ビデオが作成される。新宿と吉祥寺のレンタルスペース、井の頭公園において1日で撮影が行われた。

12. no music but life goes on

    • アルバム制作初期段階で先行リリースした『Rebirth and New verse – EP』の2曲目に収録。シングル曲として扱う。
    • デモ音源としてリリース済のセルフアレンジ楽曲に対し、イシワタユウイチにリアレンジをオーダー。
    • デモ音源バージョンはSoundCloudで2014年から配信されている他、2019年にサブスクで配信開始した『rechronicle 2013-2019』にも収録されている。
    • 活動初期から代表曲として認知され評価も高かったが、本アルバムのリリース以降、心境の変化から本楽曲の歌詞に表現されているスタンスとの乖離を感じるようになり、ライブ披露されることがなくなった。

 

参加ミュージシャン


  • taberusan:Vocal, Acoustic Guitar, Electric Guitar (#4), Computer Programming (#1, #4, #8)
  • イシワタユウイチ:Guitar (#3, #10, #11, #12), Bass (#1, #3, #10, #11, #12), Computer Programming (#3, #10, #11, #12)
  • 島田アキヒロ:Guitar (#2, #7), Bass (#2, #7), Computer Programming (#2, #6, #7), Chorus (#2, #7)
  • EMILYDAKOTA:Keyboards (#9), Computer Programming (#9), Chorus (#9)

 

外部リンク


関連情報

コメントは受け付けていません。